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布川事件

 「布川事件」とは、1967年(昭和42年)8月30日、茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件である。 同年10月にこの事件とは別件で逮捕された2名が犯人とされて、無期懲役が確定したが、弁護団は「冤罪」として再審請求を行った事件である。 弁護団からの鑑定依頼は、前鑑定人が実施した「強盗殺人をしているにもかかわらず、現場に指紋がないのはおかしい」という鑑定書を作成していたが、が病気でなくなったため完成にいたっていなかった。

 そこで当職が、事件内容を検討し、「たしかに被告人たちの指紋が現場に残されていないのは、通常に考えておかしい」と思い、前鑑定人の後を引き継ぎ、鑑定を行った。 ところが、鑑定を進めていくうちに、自供と矛盾する新事実が発見され、事件の核心に迫る不合理なものが次々に明らかになった。 その後の被告人たちが現金を扱う場面の自供はことごとく物理的にありえないものが明かされ前提事実が破綻した。

 これを受けて水戸地裁土浦支部、東京高裁は当職の鑑定書をすべて認定し、そのほか殺害手段などの関連証拠とともに再審か意思決定をしていた。 そして、2009年12月16日最高裁は再審開始を支持する決定を出し、遂に布川事件も再審開始が確定した。
 その後、東京高等裁判所、最高裁判所ともに、再審開始決定を維持して、2011年5月24日に茨城県浦和地方裁判所において、再審公判判決が言い渡され、犯人とされた2名は晴れて無罪が確定した。